『殿さまツアー』ってもの凄くインパクトのある名前だと思いませんか?ちょっと安易な横文字ツアーが多いなか何と分かりやすく人を惹きつけるネーミング!Largoさんには誰かコピーライターでもいるんですかね!?
昨年初めてブログで『殿さまツアー』の記事を読んでから、35℃を超える真夏日にでさえ片時も僕の脳裏から離れることはありませんでした。そんな訳で昨年の秋頃に初めて募集記事をみて迷わず「行こう!!」って決断しちゃいました。しかも妻のヒロミを誘って・・・。
と言うのも、彼女は僕の一番古いスノーボード友達でありながら、2度に渡る出産と育児に追われ、6年前のニセコ以来全くと言っていい程スノーボードから離れていたからです。僕、一人でスノーボードに行く後ろめたさもあったのですが、何より子供も含めて家族でスノーボードに行くのが我が家の夢だったし、たまには子育てから解放されて一緒に楽しめる時間が必要だったので、これは絶妙なチャンスでもあったのです。
≪1月20日≫
19:40
何とか2人の両親に、おてんば盛りのカエラとやんちゃ盛りのライトを預けて東京駅着。空腹だったので八重洲でラーメン食べるか散々悩んだ挙句、せっかくだからと駅弁とビール4本、日本酒四合瓶2本を買い込んで待ち合わせ場所へ。初めての参加で緊張していたから飲んで誤魔化そうと思ったが、さすがに買いすぎで浮いてしまうのでは!?と憂慮する。が、とりこし苦労だったと判明するのにさして時間は必要なかった。
20:00
キクウラさん以外面識がなく待ち合わせから不安だったが、なんとか合流。阿部寛にそっくりの笹本さんに先導されて無事新幹線に乗車。松尾芭蕉も北上したであろうみちのくの旅路を駕籠にゆられつつ先ずはビールで乾杯。
22:00位だったと思う
マキさん達の席で酒をご一緒させてもらう。既に十分いい気分になっており、普段人見知りする僕も難なく溶け込める。いや、溶け込ませて頂く。八甲田の話や最近のスノーボードの話をしながら(多分。既に十二分に酔って記憶が定かでない。)大いに盛り上がる。『殿さまツアー』初参加なら、青森で「絶対に『母ちゃん食堂』に行くべきだ!!」というご指南を受ける。
23:30のはず
新青森着。
24:00位なんじゃないか
もう殆ど記憶がないがサンルートチェックイン後、すぐに『母ちゃん食堂』へ。じゃっぱ汁に舌鼓を打つ。じゃっぱ汁、噂に違わぬ旨さ。これだけは嘘偽りなく記憶に残っている。更に田酒を一升オーダー。このツアーの恐ろしさに気付きだす。
25:30だったはず
限界を感じたので棄権。帰路に就く。
≪1月21日≫
6:00
起床。朝食を無理やり詰め込む。
7:10
意識朦朧のなか平井さんと再会(八甲田ナイトで一度お会いしていた)。お迎えのバスに詰め込まれる。40分ほどで八甲田スキースクールに到着とのこと。回り道してくれないかなぁと無駄な期待を抱きつつ車中爆睡。
8:00
八甲田スキースクール到着。荷ほどきと準備。
9:00
ツアー(午前の部)スタート!!ロープウェーからしばし八甲田の大自然に目を奪われ、心躍らせる。このころには意識がはっきりする。午前の部は田茂萢岳周辺を滑る。アプローチ気味な1本目の後、2本目のオープンバーン一発目を行かせて頂く。4日間降雪がないとのことで弱冠締まり気味だったが、天気は程良く、視界も良い為十分気持ちよく滑れる。バックカントリーの醍醐味はパウダーだけではないのだ(決して負け惜しみではない)。スノーシューに履き替え尾根を登る。
30分ほどの軽いハイクで背後に青森湾、右手には赤倉岳の頂。ハイクがそれ程辛くないのも八甲田ツアー魅力の一つ。3本目は深沢温泉に向けてロングツリーラン。さすがは八甲田スキースクールガイドの平井さん。4日間も降雪がない中でしっかりとパウダースノーをご馳走してくれる。
12:30
午前のツアーを終えスキー場にバスで送ってもらい昼食。
13:30
午後はカモシカコースで八甲田の絶景に圧倒される。夏場は降りられない湿原地帯で皆思い々に写真撮影をする。その後はストックを使いながらひたすら緩斜面をこぎまくる。うちの嫁はこれでトラバースが苦手という認識を持つ。バックカントリーにトラバースは付き物なのだぞ、我が妻よ。その後メローなツリーランで再び残っていたパウダーをしっかりご馳走になりながら1日目を終える。
16:00
平井さんのドライブで酸ヶ湯温泉へ。この旅館がまた素晴らしい。古き良き昭和の香りを残した温泉宿で、映画の中のワンシーンのよう。感動しつつも、あまりの眠さに部屋に入って1時間ほど仮眠。起床後、ひば千人風呂へ。この風呂がまた最高の雰囲気を醸しつつ、お湯がもう最高♪草津、登別と比べても全く遜色なし。白濁したお湯は疲れた体にじわりと染込んでいく。風呂上りにのんびりビールでも買ってLargo部屋に参入しようと思っていたら、キクウラさんが何やら慌てた様子。「とにかく急いでこっちの部屋に来て」との事なので何とも判らずLargo部屋へ。
そこで真っ先に目に入ったのが真っ赤やピンクに輝くマグロセットと、早く飲んでくれと言わんばかりに並べられた見慣れぬ、しかし一見してそれが杜氏の手による逸品と判る日本酒の数々。八甲田ローカルの今さんが駆けつけた際に持参して頂いたとのこと。
『何とすばらしいツアーなんだ!!』初参加の僕にとっては、次から次へ想像を超える至れり尽くせりの出来事にただもう呆然と、それを受け入れることしかできない。もう既に、この頃は完全に『殿さまツアー』に呑み込まれている。しかし、当然そのとき自分が呑み込まれているなんて知る由もない。
今思えばあの時僕は完全にトランス状態であった。次の日知ることになるがその後宴会は続き5升空いたとか・・・。
《1月22日》
6:00
目覚まし時計の音で再び現実の世界に引き戻される。朝食を無理やり詰め込みロープウェーへ。やはり雪は降ってくれていなかったが視界はそれなりに良好。と言うことで、本日は午前の部のみに予定を変更してちょっと長めのコースへと。
昨晩の後始末に多少時間を費やしつつも出発。今日は、1日目のルートとほぼ一緒ながらも、そこはさすがのスキースクール平井さん、しっかり遊ばせくれました。1本目のちょっとしたオープンバーンから、スノーシューに履き替え軽いハイク。2本目は大好きな沢地形。みんな沢に当て込んだりと思い思いにラインを刻む。
そこからつぼ足で更に歩いて八甲田最大のオープンバーンへ。「想像以上にスピードがでるので気をつけて」という平井さんのアドバイスを胸に次々とドロップ。上のごく一部分は風でパックされつつも、その後はみんなきっちり自らのラインを八甲田の山に刻みこむ。5日間も降雪がないのによくこんなノートラックバーンが残っているものだと、ただただ驚嘆するばかり。八甲田温泉に向けてツリーの中を降りていく。
13:00
昼食後。身支度と最後の温泉。
15:00
平井さんに青森駅まで送って頂く。
16:00
夕飯はラーメン組とうに丼組に分かれる。僕たちはうに丼組に混ぜてもらう。そう。再び母ちゃん食堂へ。最後の想い出にとじゃっぱ汁とホタテ焼き、更にホルモン焼きを注文。それなら!?と田酒を1升オーダーする。
18:00
ほろ酔いのなか新幹線に駆け込む。昨晩残った酒をきっちり片付けて一路帰宅の途へ。一体どんだけ飲むんだ!?。
21:30
東京着。へとへとになりながら(肝臓)解散。
殆ど面識のない中、Largoチームの皆様には暖かく迎え入れていただき本当に感謝しています。酒と温泉とスノーボードが大好きな僕にはたまらないツアーでした。また八甲田スキースクールのガイドの皆様の何と優しいこと。ころべばすぐに駆けつけてくれるし、何より津軽弁ですか?話し方が温かい。ガイド中も笑顔が溢れ出ています。「滑るときストックしまうの面倒だったら僕たちが持って降りますよ~」って、甘やかしすぎですから。昔何かの雑誌で、日本人サーファーがテイクオフする時に、バリニーズのガイドが周囲を大声で威圧しつつ、手でプッシュしてもらって波に乗っていたとか言う話し思い出しました。さすがにLargoチームの皆様にそんな方(うちの嫁を除く)はいませんでしたが・・・。
そんなこんなの『殿さまツアー』。バックカントリー初心者の方でもパウダースノー滑走経験がある方なら参加できるとっても魅力的なツアーです。
但し、お勧めはしません。何故なら人数に制限があるらしく、来年の僕たちの枠がなくなると困りますからね。
それと一つ要望があります。できれば皆さんともう一晩酸ヶ湯にステイして酒飲みたかったです。
では。
N. Hasumi(文・写真とも)