3−4日前だった。
上の娘の晩飯を作って、彼女がそこそこ満足した様子を見たら、少し小腹が空いた。
自転車で1−2分の駅前通りに出ると蕎麦屋があった。
いつもは冷たい蕎麦と決めているのに、珍しく、天ぷら蕎麦を頼んだ。
店は混んでおらず、奥のテーブル席で待っていると、ほどなく声がかかった。
初めて入った蕎麦屋だったが、天ぷら蕎麦は悪くなく、なんとなくくつろいだ。
すぐ後に隣に座ったおじさんは、まずテーブルをダスターで拭き、トレイに乗ったサービス券を大事そうに財布にしまった。
食べ終わるのがちょうど同じ頃だったので、「これ、使うんだったらあげますよ」と自分のトレイにもあったサービス券を渡すと思いの外喜んで、「じゃ、お礼に」と言ってワタシのトレイもカウンターに下げてくれた。
少し驚いたが、その時の和んだ気持ちと天ぷら蕎麦は悪くなかったの思いがあって、癖になったか、昨夜も行った。
件のおじさんは、もちろんいなく、やっぱりサービス券はトレイにあったから、もらって帰った。